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赤と青の双月が天蓋の如く世界を覆う夜。 夜闇に射す優しげな光を浴びながら、一台の荷馬車が車輪を響かせ目的地に向かって走っていた。 「アニキ~ちょこっとだけ良いスか~?オレッチもう我慢の限界なんスよ~~」 手綱を握り馬を走らせる男が、下卑た笑みを浮かべて隣に座る男を見る。 「手早く済ませろ。壊すなよ」 冷え切った眼差しを弟分に向けてそれだけを言うと、アニキと呼ばれた男は黙想する様に眼を瞑る。 「わかってまさぁ。優しく扱うんスよね?」 弟分の男は馬を止め、喜び勇んで荷台の鍵を開け積まれた『商品』を物色し始める。 「へへ…どいつにするかな……おっとコイツにするか」 男に怯えて震え上がる『商品』から一つを選び、嫌がる『商品』を殴って黙らせると、男は『商品』の髪を 掴んで引き倒し荷台を降りる。 「それじゃアニキ。パパッと済ませますんで」 「あの~…聞きたい事があるんですけど…」 突然背後から声を掛けられ、男が驚いて振り向くとそこには一人の少女が申し訳なさそうに佇んでいた。 「な…なんだおめぇはッ?!」 「ひとつ…ちょっとした質問に答えてくれると嬉しいんですが…」 動揺する男に構わず言葉を重ね、少女は男に歩み寄る。 男は突然の声に驚きはしたものの、相手が年端も行かぬ少女と判り安堵する。 「なぁにか用か~?お嬢ちゃんよ~」 安堵と同時に男の欲望が鎌首を擡げ、少女の身体を嘗める様に観察する。 誘うような露出の多い服に身を包み、歩み寄る少女は男の欲望を発散するのに十分な魅力を備えていた。 「ちょっと…道に迷ってしまって…」 「へえぇ…道にねぇ~」 男は状況を理解していないのか、間の抜けた事を言う少女を脅そうと腰に下げた剣に手を伸ばす。 「これから『殴り込み』に行くんだけど…モット伯の屋敷って…この道でいいのかしら?」 「ハァ?なに言って…え…あれ?」 男は剣を抜き少女にその切っ先を向ける…が、その剣が飴細工の様に曲がり男の手を拘束していた。 「それから…もうひとつ。この子たちをどうするつもりなのかしら?」 「へ…いや、そりゃあ売り飛ばすにへぶッ?!」 今起こっている状況を理解できない男は少女の質問に正直に答え、その瞬間鳩尾を殴られ男は気絶した。 「テメエッ!女の子を誘拐して売り飛ばすだとォッーー!!」 「ぶごおっ!」 男が眼を覚ますと、まず自分が慕っているアニキが誰かに蹴られているのが眼に入った。 「うごご!おげえぇぇ……」 「ゲロ吐きやがって!僕を『ゲロっぱき』って馬鹿にしてるのか?!クソッ!クソッ!」 血反吐を吐いて気絶したアニキを蹴り続ける少年。アニキを助けようと身を起こそうとして 自分が縛られている事を知り、そして、叫ぼうとして猿轡を噛まされている事に気付いた。 薄暗い藪の中で少年が気が狂ったようにアニキを蹴り続けている光景だけが目に映り、男は恐怖した。 その絶望している男の前に、先程の少女が小さな包みを携えて姿を現した。 「あなた…さっきの質問…覚えてる…?」 少女は先程と同じ、申し訳なさそうな口調で尋ねてきた。男はそれが恐ろしかった。 「フゥ~…フゥ~…」 「ねえ~~聞いてるんだから…返事くらいしたらどうなの…ねえ~~~~」 少女の口調が突然変わり、感情の窺えない目で男を覗き込む。 男は蹲り蹴られ続けるアニキの呻き声を遠くから聞こえる様に感じた。 少女が持った包みに手を入れ、内から布に包まれた針を取り出し地面に置く。 男の眼がそれに釘付けになる。 「話が変わるんだけど…あなた…『黒ヒゲ危機一髪』って…知ってる? 樽にオモチャのナイフを突き刺して…樽の中の人形が飛んだら負け…ってゲームなんだけど…」 「うごッ!フゴオォ~」 少女が何をしようとしているのかを薄々感づいた男が逃げ出そうと身を捩るが、固く縛られたロープは その程度ではビクともしない。 男を冷ややかな眼で見ながら、それを見せつける様に少女はゆっくりと布から針を取り外し、男に近づける。 「あなたは…何本目で…『飛ぶ』のかしら…」 死刑を宣告する言葉を少女は紡ぎ、針を男の首筋にゆっくりと捻り込む。 「ウんんんんンーーーッ!ガアアアアアーーーーッ!」 「まだ一本目よ…情けない声を上げるんじゃあないわよ!」 二本目の針が突き刺さり、男の心は絶望感で溢れかえり声にならない叫びが辺りに木霊した。 To be continued…… 17< 戻る
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ルイズの案内で食堂に至り、何か食べるモノはないかと厨房を覗いたら、すぐそこにメイドがいたのだ。 彼女の姿を確認した露伴の行動は素早かった。 即座に詰め寄り、ただ一言。 「母乳を飲ませてくれ。必要なんだ、それだけ大きければ出るだろう?」 「えっ? えっ? えっ???」 「このっ、バカッ! ちゃんと赤ちゃんのためにって言いなさいよ! それに子供もいないのに出るわけ無いでしょうが!」 メイドに迫る露伴の背中をぽかぽかと叩きながらルイズは言うが、露伴はそれに全く取り合わずに言った。 「何を言っているんだ。母乳は体質的なモノもあるからね。もちろん子供が出来ればホルモンバランスの影響で出やすくなるが、そうでなくても出る人はいる。それで君はどうなんだい?」 この辺りでようやく露伴の言っている意味が理解できたメイドは、顔を真っ赤にして俯いて、ただ一言。 「す、すみません………その、わたし、出ないです」 明らかに悪いのは無理矢理詰め寄って問いつめる露伴なのだが、それでもメイドは謝った。 「まぁっ、それではロハンさんと一緒にこの赤ちゃんまで来てしまったと言うんですか?」 「Exactly」 「……はい?」 「いや、なんでもない」 その腕に静を抱いて、皿からシチューをすくって飲ませている。 名前はシエスタというらしい。 聞いたところに依ると、歳は17、学園に奉公に来ているとのことだ。 露伴の脈絡のない先制攻撃に、激しく動揺していた彼女だったが、ルイズの説明の甲斐あって落ち着いて、夕餉の残りを差し出してくれた。 「生後半年ほどでしたら。そろそろ離乳食を始める頃ですね。これくらいのシチューなら少しずつ飲ませられますよ」 鍋からシチューをよそい、煮沸消毒した皿とスプーンで静にシチューを飲ませるシエスタ。 具はとてもよく煮込まれていたが、それでも静が食べるには大きい。 それをシエスタはスプーンで入念に潰し、ドロドロにして静に与える。 「やっぱり離乳食飲み慣れてるみたいですね。凄い食欲……」 「んまっ………あっ、だー。あぶ、あー」 シエスタの言葉に、静はもっと欲しいと催促するかのように喋った。 「はいはーい、シズカちゃんごめんなさいねー。いまあげますからねー」 「手慣れたモノだね」 慣れた動作で静にシチューを与えるシエスタに、露伴はルイズと揃って見入っていた。 「えぇ、私の実家は家族が多くて。弟や妹の世話をしていたんですよ」 「そうか、いやぁ助かる。あいにくぼくには赤ん坊の世話をしたことが無くてね」 「だからといって『母乳を飲ませてくれ』は無いでしょ。『飲ませてくれ』はっ」 いけしゃあしゃあと言い放つ露伴にルイズが突っ込むと、シエスタはさっきのやり取りを思い出して頬を染めて俯いた。 「仕方ないじゃないか。万が一と言うこともある。やはり赤ん坊には人肌の母乳が一番だろう? それを考えると乳母をしてもらうのが一番じゃないか。それに出なくても『吸う』と言う行為だけでも気が紛れるらしいからな」 「『吸う』って…………」 「もちろん本当に出ることに越したことはない。それにもし出るようであればぜひぼくにも味見させて欲しかったんだがね。味がわかればよりいっそうリアルな書き方が出来るようになるからな」 味見、の意味する行為にシエスタどころかルイズの顔も真っ赤になる。 「こ、こ、こ、こ、この変………」 「変態? 貴様この岸辺 露伴を変態呼ばわりする気か!? この岸辺露伴が下心が理由でそんなことをするとでも思っているのかァーーーーーーッ!」 露伴の大声にビックリしたのはルイズだけではなかった。 当然の如く静がビックリして泣き出してしまった。 「あぁ、すまない、ついかっとなってしまった。ほんとにすまない」 「いえ……」 シエスタから静を受け取り、露伴があやす。 シエスタは立ち上がり、新しいスプーンを取りにいった。 露伴の大声でスプーンを落としてしまったからである、落としたスプーンは使えない。 「よーしよしよしよし。ビックリさせてしまったね。大丈夫。怖くないぞ。全く困ったお姉ちゃんだねぇ……」 「ちょっ、あんたがっ」 自分のせいにされてルイズがさすがに抗議しようと立ち上がるが。それを露伴に制される。 左腕で静を抱き、その右手の人差し指だけを立てて、己の唇に当てる。『静かに』というジェスチャーである。 見ると、その腕に抱かれた静のめがとろんとしていて、今にも閉じてしまいそうである。 「あぁ、もうお腹一杯みたいですね。後は背中を軽く何度か叩いて空気を吐き出させて上げてください」 新しいスプーンを持って帰ってきたシエスタの言葉に従い、露伴は静の背中をポンポンと叩いた。 「けぷっ」 可愛らしい声を上げて静が空気を吐き出した。 「はい、それで大丈夫ですね」 すこし湿らせた布でシエスタが静の口の周り、すこし零れたシチューを拭き取ってやる。 「御馳走様」 「御粗末様でした。今後赤ちゃんの分が必要でしたらいつでも申しつけてください。マルトーさんにも掛け合っておきますので」 「あぁ、本当に助かった。ぜひお願いするよ」 露伴はそうシエスタに例を言うと、腰を上げた。 そしてルイズもガタリと椅子を弾くように立ち上がる。 「食べ終わったら帰るわよ。いつまでもメイド捕まえてちゃ迷惑になるでしょ」 「迷惑だなんてそんな……私たちは貴族の方々のお世話をするためにこちらにいるのですから、どうかお気遣い無く」 シエスタの言葉を無視してルイズは厨房を出る。 「あの……何かわたし粗相をしてしまったのでしょうか……」 ルイズの些細な仕草からシエスタは何かを感じ取ったのか、不安げに露伴を見上げる。 「気にすることはないだろう。貴族とは言ってもやっぱり子供だって言うことさ」 「………貴族の方にそのようなそのような接し方が出来るんですね、ロハンさんは……私達はとても……」 「世界観の違いだろうから気にすることでもないと思うがね。けれどあまり卑屈になることもないと思うぞ」 露伴がそう言ったところで、ルイズが大声で呼ぶ声がする。 「おっと、ご主人様が怒髪天だ。それじゃまた、おやすみ、シエスタ」 「おやすみなさいませ。ロハンさん」 ルイズの部屋に戻ると、二つの月明かりが部屋を淡く照らしていた。 「さっきは気付かなかったが、ずいぶん明るいんだな」 「……いつもこんなもんよ」 相変わらず不機嫌なようだ。静が眠っているため怒鳴ったりするのは抑えているようだが。 「………何をしている」 マントやシャツ、スカートを脱いでネグリジェ一枚になるルイズを見下ろしながら露伴は訊いた。 「何って……もう寝るから着替えてるのよ」 「男の前で着替えて恥ずかしくないのか?」 「は? あんたは使い魔でしょ。使い魔に見られたってどって事無いわよ」 (なるほど、使用人扱いか? しかし使用人の前で肌を晒すのはアリなのか、興味深いな……) 「ところでぼくは何処で寝れば良いんだ? そのベッドを半分使っても良いのかな?」 「そんなわけっ………んっ、そんなわけないでしょ」 露伴の言葉に大声を出しそうになったが、静が眠っているのを思い出して思いとどまる。 (こいつつくづく人をおちょくるような発言するわね……後でビシッと躾ておくべきかしら……) 床にもっそりと積まれた藁束を指差して。「あんたは床」と言った。 (躾るにしても……食事は………無理ね。ご飯抜いても結局シズカのご飯のために厨房に行くし…………ふぁ) 一つ大きなあくびをして、ルイズはベッドに完璧に横になった。 「あぁ、そうそう。それ、明日洗濯しておきなさいよ……シズカのご飯も払うのは私な…ん…だか……ら……」 疲れていたのだろう、テーブルの上に乗せたシャツ、スカート、下着を指しながら徐々にフェードアウトしていく。 「ところでルイズ、君は寝相は良い方か?」 「様……を付け……貴族……たる……も……寝る…とき……優雅…………すー」 最後まで言うことなくルイズは静かな寝息を立て始めた。 藁で眠るのは、まだ良いとしよう。 けれど静のことも考えて欲しいものだな、赤ん坊だぞ? やれやれと軽く溜息をつきながら、露伴はルイズのベッドの上に静を寝かせる。 「んむ……あ、ぁー……」 静の柔らかい頬をぷにぷにとつつくと、嫌そうに唸った。 「まったく……些細なことで癇癪を起こす。コレだから生意気なガキは嫌いなんだ」 そう言いながら露伴は窓枠に近づき、二つの月を見上げる。 「少しくらい康一くんを見習って欲しいくらいだ」 小さく呟きながら、露伴はすこし年下の『親友』を思い出す。 あの世界は、大丈夫だろうか……。 『吉良』の脅威はまだ消えていない。 『シンデレラ』の辻 彩を殺害し、他人の顔を奪ってまんまと逃げた『吉良』は今もまだ隠れ潜んでいるだろう。 「やはり………赤ん坊だけじゃなくてぼくも早く帰らないと行けないかな……」 マンガのネタとして最高の素材を得るチャンスなのはわかっている。 しかしそれでも吉良の脅威を忘れていられるほど露伴は非常ではない。 「帰る方法……か……」 幸せそうに眠っているルイズへ視線を向ける。 「なんとしても、探してもらうぞ。ルイズ・フランソワーズ……」 そしてゆっくりと夜は更ける。 翌朝、露伴はルイズの絶叫によって目を覚ました。
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わたしは屋敷の中庭を逃げ回っていた。まるで逃げることが得意な誰かさんのように。 「ルイズ、ルイズ、どこに行ったの? ルイズ! まだお説教は終わっていませんよ!」 お母さま、あなたの場合、お説教じゃ済まなくなることがあるから逃げるんです。 おっと危ない。誰か来たみたい。ルイズ、急いで茂みに隠れるのよ。 「ルイズお嬢様は難儀だねえ」 「まったくだ。上の二人のお嬢様はあんなに魔法がおできになるっていうのに……」 使用人にまでなめられるかわいそうなわたし。あんた達、顔は覚えたからね。 不心得な庭師と馬丁をやり過ごし、ルイズスーパーダッシュで中庭を走り抜けた。 色々と凝った造りの庭だけど、毎日眺めてる人間にとっては大した有り難味もない。 誰かさんに言わせれば庭師に対する感謝の気持ちを持つべきなんでしょうけど、さっきわたしの悪口言ってたんだからおあいこよね。 抜き足差し足かつ早足という神業で庭を駆け抜けたわたしは、池のはたに浮かぶ小船の中に潜り込んだ。 わざわざ毛布まで持ってきて、いざという時の隠れ家にしているのよ。おかげで住み心地は悪くない。 食料をちびちび失敬していれば、三日くらいはもつんじゃないかしら。 ただし、見つからなければという注釈つきで。気配を感じ、予備動作無しで伏せ、船に耳をつけた。 むっ……わたしが完璧な篭城体制に入ったのに、邪魔者再びあらわる。庭の方から足音がする。 この足音、家族のものじゃない。霧の向こうにうっすらと映るシルエットは……。 「泣いているのかい? ルイズ」 うわ、あのなんとかって子爵だ。あの人苦手なのよね。泣いてない女の子に「泣いてるのかい?」って言っちゃうセンスとか、そういうところが。 べつに何されたってわけでもないし、悪い人じゃないとも思うんだけど、何かむしが好かないっていうかさ。 理不尽なこと言ってるとは思うけど仕方ない。前世で何かあったのね、きっと。 なんたら子爵に捕まるわけにはいかない。ここで手をこまねいていてはすぐに見つかっちゃう。 わたしは素早く服を脱ぎ、下着一枚になって肩まで池につかった。 あれだけ追いかけっこしてれば準備体操は必要ないわね。ルイズスーパースイムで水に潜る。 波を立てないよう気をつけて、なるだけ深く深く潜水していきましょう。 「お嬢さま、こまめに手入れをしているとはいえ、お池の中は大変不衛生でございます。水泳に適した環境ではないかと」 そうかな。ところでなんであんたここにいるの? 「わたくし、蛙でございますから」 なるほど、納得ね。 わたしはヨーヨーマッ子爵に手を引かれ、水底に建設中の蛙王国を目指す。 幸いなことに、ゼロのルイズであるわたしは息継ぎの必要もゼロ。当分蛙王国でかくまってもらいましょう。 「ねっ。それはおすすめできないねっ、ねっ」 どうしてよ。 「ルイズは蛙が大嫌い。ねっ」 そうだった。忘れてたわ。どうしよう。 「共存共栄でよいじゃろう。石の上の蛙を殴る必要はあるまい」 誰がそんなことしますか。 「スクークム族でよく使われることわざにこんなものがある。赤い沼の蛙は右足を切れ」 意味が分からない。ていうかあなた誰? 「……」 なんですって? 水の中より陸の上で風に吹かれて暮らしたい? 蛙のくせしてどういうつもり? 「さあルイチュ。おいで」 グェス子爵が水の底で手招きしている。 普段は信用できないやつだけど、今日初めて会ったような蛙達よりはまだマシかもね。 「気にしないで。あんたあたしのお友達じゃない」 気づいてないなら教えてあげるけど、あんたが友達っていうたびに言葉の意味が軽くなってるのよ。 「あたしのルイチュ」 だからいつ誰があんたのものになったっていうの。失礼しちゃう。 「なァルイズ。そっちはいかネェ方がいいゼ。そっちは大凶の方角ダ」 何が大凶よ。あんたの言うことって、自信たっぷりなわりに根拠薄弱なのよね。 「キュイキュイッ! 根拠ならあるゼーッ」 ふうん。言ってみなさいよ。 「水の中デ暮らす夢ナンテ見たら寝小便確実ダッツーの!」 ベッドの上に横たわり、グェスの後頭部を見つめている自分を認識した。 額に張り付いていた前髪を指先で払う。肌が汗でべたついていた。……汗よね? 布団をはいで、ネグリジェの裾を胸元まで巻くり上げた。大丈夫そうね。 念のため下着の中まで確認した。乾いている。毛が薄い。お小水を漏らしてはいなかった。 胸を撫で下ろした。よかった。人として間違ったことにはならなかった。ドラゴンズ・ドリームには大感謝ね。 とても混沌とした夢を見ていたような気がするけど、夢って大抵は混沌としているわよね。だって夢ですもの。 気にしないでおこうっと。気にしたら眠れなくなっちゃう。まだ朝には早いみたいだし、ちょっと走ってこようかな。
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「……もし、『そうだ』と言ったら?」 ルイズにそう問いかける。 ルイズはすぐには答えず私を見詰める。睨むでもなく、観察するのでもなく、静かなる威圧感をその眼に宿し、ただ見詰める。 ルイズはこういった眼をするよう、……いや、出来るような女ではなかった。 正直言えばこの程度の威圧感など犬に咆えられるよりも効き目はない。 しかし問題なのはそういった眼が出来るようになったことなのだ。ルイズが、この甘ちゃんが、この馬鹿が、そういった眼をできるようになったというのが問題なのだ。 それを見極めるためにはまず観察するしかない。 そのためには相手の出方を見なければならない。心でも読めれば楽なんだがそんなことは出来ないしな。 くそッ!なんて面倒なんだ!早く始末してしまいたい!早くこの忌々しい使い魔という呪縛から開放されたいのに! いっそ今ここでルイズを殺すことが出来たらどれだけすっきりするか……、ルイズの眼の変化なんて気にしなくて済むしな。 だがここで殺すときっとワルドが私を攻撃してくるだろう。ワルドを倒せたとしてもこの船の船員が黙っていられるだろうか? 答えは、ノー。だから皆殺しにするしかない。しかし私に船の運転ができるか?ましてや空を飛ぶ船だ。いつ落ちるかわからない。 そんなもの無理に決まっている。結局ルイズはアルビオンで隙を見て殺すしかないのだ。 というより何故自分はここまで苛立っているんだ? たかがルイズに質問されたぐらいで、たかだか眼が少し変化したぐらいで、何故自分はここまで苛立っている? いつもみたいに誤魔化せばいいじゃないか。眼の変化など気にかけなければいいじゃないか。 何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故? ……何故かって?そんなもの決まっている! 私の『静かなる人生』を!『幸福生きる』という願いを! そして私を打ち砕いたクソカスどもの眼に似ているからだ!○○やくそったれ○○に似たな! 今はまだ違う。奴らのような○○を秘めているという訳ではない。 だが、この吉良吉影の『勘』が……いずれ奴らのような○○をその眼に宿すのではないかと告げている。 そう、奴らのような○○という名の○○を…… しかしそれはあってはならない!そのような○○を宿らしてはならない! 自分を否定するものが有ってはならないんだ! 「……私は」 ルイズが話しかけてくる。 それをきっかけに再び意識が浮上する。 私は今何を考えてたんだ?『私を打ち砕いた』……だと? どういうことだ?まるで静かな人生も幸福に生きるということも潰えたみたいな感じじゃないか!? 今目指しているものなのに何故潰えた感じ何だ! しかも『打ち砕いたクソカスども』?どういうことなんだ!? 「ちょっとヨシカゲ?顔色悪いわよ?」 ○○やくそったれ○○?○○?○○という名の○○? あれ?さっきまで考えていたはずのことがなぜ思い出せない?しかもまるで穴あきのように1部分だけだ。 自分を否定するもの? 勘? 眼? ○○? 吉良吉影? あれ?なんで自分の名前に疑問を持ってんだ? 「ねえ?聞いてるの?本当に顔色悪いわよ?大丈夫なの?」 膝が震える。汗が噴出してくる。自分の中の何かが、決定的な何かが壊れたかのように! く、苦しい!何で苦しいんだ? 息が出来てないからだ!じゃあ何で息が出来ないんだ? 体が言うことを聞かない!じゃあ何で言うことを聞かないんだ? あれ?何でこんなこと考えてるんだ?じゃあ何でこんなことを考えてるんだ? 咽喉を押さえ膝を突く。 もう立っていられない!思考もまともにまとまらない! 「ヨ、ヨシカゲ!?」 そうか…… 問題は、一番の問題は、自分が何で自分でもわからないこと考えたということではない。 一番の問題は……自分の名前に、いや、自分に疑問を持ったことだ! その瞬間から体に変調が起きたんだ。間違いない! じゃあ何で自分に疑問を持ったんだ?私は吉良吉影!私は私であり他の誰でもない!疑問を抱く余地なんてないじゃないか! いや、本当にそう言えるのか?言えるに決まっている! 突然腕が視界に入る。誰の腕かはすぐにわかる。私の腕だ。しかし私の腕といってもただの腕ではない。もう一つの腕だ。何故現れているんだ? 暫らく見詰めていると頭がすっきりした感じがする。 そうか、簡単なことじゃないか…… 「……こ………!」 「え……!……………………」 ついに体が地面に倒れ付す。音も殆ど聞こえなくなっている。 自分が自分のこ……とを疑……問を持ったのは、自分の考え……た吉良吉……影を他人と思っ……たからだ。 目の前が暗くなり始める。 私が認識し……ている吉良吉影ではなく別人とし……て考……えたからだ。 それじ……ゃあ、ど……うして他……人と思ったんだ? ま、まさか!……も……しか……したら私……の死ぬ前の……!? そして目の前は暗くなった。
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J-669 リゾット・ネエロ J-669 R キャラ 黄金の風 血 P(5) S2 T2 ☆☆☆☆☆ ●こいつの表情には演技ではない「無知」と本物の「おびえ」がある……… このキャラが登場した時、バトルフィールドにいる、スタンドの付いていない敵1人を捨て札にする。 風悪風風 リゾット 人間 出典: スタンドが付いていない敵を数値やレベルに関係なく、捨て札にできるカード。 スタンドをつけられない柱の男の天敵。 他の「風・悪」キャラクターとリネージを絡ませるには、 このキャラのためにリネージの最初に「風」を追加する必要があるため、 「悪・血」デッキにリネージ要因として忍ばせておいて、 いざとなったら、J-519 エニグマで奇襲をしかけるのもいい。
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深夜から早朝にかけて静まり返っている塔の中。 その為、小さな足音も階段から聞こえてくる。 カツーン カツーン カツーン 足音が近づくにつれ杖を構えたキュルケの呼吸が激しくなる。 「深呼吸したら。動悸が激しくなると体温が上がるわよ、その分老化も早まるから気をつけて」 「何なのよ、その地獄のコンビネーションは!もっと明るい話題は無いの?」 「・・・プロシュートの偏在は厄介だけど、プロシュート自身は普通の人間よ。 だからプロシュート本人に魔法を当てることができれば勝機があるわ。 そして、魔法と違ってプロシュートを倒せば全て元に戻るわ!」 「まだ、何とかなるって訳ね」 「ええ、諦めないで。来るわよ!」 全員身構えながら出入り口に注目する。 プロシュートが姿を現した。当然その側にグレイトフル・デッドの姿があった。 「君たち下がりたまえ」 ギーシュが前に出て杖を振るとワルキューレが一体姿を現した。 「行けッ、ワルキューレ」 ワルキューレがプロシュートの足元を槍で突く。 特訓をしたと言ってた通り、その動きは今までと全く違っていた。 無駄が無くなったというか、洗練されたというか、執拗に足元を突きまくる。 プロシュートは眉一つ動かさずに槍を躱していく。 グレイトフル・デッドがワルキューレの槍を掴まえ手前に引き寄せる。 「グレイトフル・デッド」 そのまま反対の手でワルキューレの胴体に穴を開けた。 「今よ!偏在の両手が塞がったわ!」 見えないギーシュに代わって、わたしが声をあげる。 「じゃあ『レビテーション』を解除するわね」 キュルケが構えを解くと天井に張り付かせたワルキューレがプロシュートを 襲う。ギーシュはプロシュートの目前でワルキューレを出す前に、あらかじめ 一体出しておきキュルケがレビテーションで天井に張り付かせていた。 プロシュートの足元を狙ったのも注意を逸らす為の行動。 考えてるじゃないギーシュ。 「グレイトフル・デッド」 グレイトフル・デッドは目の前のワルキューレから拳を引き抜き、そのまま拳を突き上げた。 バガァッ 二体目のワルキューレも胴体から真っ二つにされる。 「すごい・・・」 滅多に感情を表さないタバサが感嘆の声を出す。 「まだだ、まだ終わらない」 ギーシュが杖を振るう。これから、どうしようってのよギーシュ? 「ワルキューレを油に錬金する!」 真っ二つになったワルキューレが油に変っていきプロシュートに降り注ぐ。 「キュルケ、今だッ!」 ギーシュが声を張りあげるがキュルケは動かない。 「ちょ、ちょっと待って。油がドーム状に浮いている?」 キュルケにはそう見えるのか。わたしにはプロシュートから覆い被さる様に 立っているグレイトフル・デッドが油まみれになっている光景が見れた。 「なんだか解らないけどやるわッ。ファイアーボー・・・」 「グレイトフル・デッド!」 グレイトフル・デッドが腕を勢い良く振ると油がもの凄いスピードでこちらに飛散りキュルケのファイアーボールに引火した。 わたしたちとプロシュートの間に火の海が出来上がり、火の勢いから生まれた熱風がわたしたちを襲う。 体がダルイ。体が重い。・・・『氷』が効かなくなってる! なんて事なの作戦通り進んでいると思ったら・・・ 気がつけば絶体絶命の状況に追い込まれていた! つ、強い! このままだと老化で死んでしまう、何とかしないと! それに、プロシュートを倒さないと! その前に、この火を消さないと! どうしよう・・・どうすればいいの?・・・ううう・・・ ギーシュ、キュルケ、タバサ、モンモランシーの顔を見る・・・ 思いついた!たった一つの魔法で全て解決できる逆転の一手を! その前にギーシュが邪魔ね。 「ギーシュ。何してるの後ろに下がって、氷が効かなくなってきてるわ!」 ギーシュは足をガクガク震わしながら一歩も動かなかった。 「ビビッてる場合じゃないわ、早く!」 「違うんだよルイズ、膝が痛くて動けないのだよ」 上半身だけ振り向いたギーシュが顔を歪ませ訴える。 ヤバイ。見た目からかなり老化が進行している・・・ ドドドドドドドドドドドドドドドド 「ひいいいいい!」「ギーシュッ!」 キュルケとモンモランシーが悲鳴をあげる。あーもーウルサイ。 「なら、レビテーションよ。それで退くのよ!」 ギーシュは杖を振り上げたまま動きを止めてしまった。 「何をしてるのよ!」 「すまない・・・どうやら呪文を忘れてしまったようだ」 「ギーシュッ!?」 き・・・記憶までも・・・しわくちゃになるとか、お婆ちゃんになるとか・・・ そんな甘いものじゃなかった・・・ 老化の能力がこれ程まで恐ろしいものだったなんて。 「レビテーション」 キュルケの呪文によりギーシュが後ろに下げられる。 「キュルケ、ナイス!」 これで逆転の一手、ウィンディ・アイシクルが使える。 老化の回復、プロシュートへの攻撃、火の鎮火。 その全てをたった一つの魔法で! 「タバサッ!ウィンディ・アイシクルをお願い」 後ろにいるタバサに声を掛ける。しかし、タバサは首を横に振る。 「何でよ、呪文を忘れたの?」 「違う。この火の海で、ここにある水蒸気が枯渇してしまっている。水が無いと 氷が作れない・・・私のウィンディ・アイシクルは湿度が必要・・・」 「何ですって!?」 せっかく良い手を思いついたというのに水が無いと使えないなんて。 水・・・水・・・モンモランシー! 「モンモランシー、水を出せる?」 初級の呪文も確か水蒸気が必要だったと思うけどモンモランシーなら・・・ 「ごめんなさいルイズ・・・さっき治癒を使いすぎて精神力がもう無いのよ・・・」 「おう、しっと」 二つ名を『香水』じゃなく『無駄使い』にしたら・・・香水! 「モンモランシー!今、香水持ってる?」 「?ええ、持ってるわよ」 「貸して!早く!」 「何をするの?」 わたしは質問に答えず黙って香水を受け取った。 香水にしては大きめのビン・・・これだけあれば・・・ 「どうタバサ、これだけあればいける?」 香水の量を確認したタバサが頷く。 「ベネ!(良し)じゃあ、お願い」 タバサに渡そうとした香水をモンモランシーが遮った。 「ちょっとルイズ。今ここで全部使うの?これ作るのに幾らしたと思ってんのよ」 「んな事言ってる場合じゃないでしょ、命が掛かっているのよ!」 「でも・・・」 モンモランシーの葛藤を余所に、わたしの手からキュルケが香水を取り上げた。 「トリステインの貴族は本当にお金と縁が無いのね。 これ言い値でいただくわ。文句ある?」 「文句無いわ」 ムスッとした顔でモンモランシーが答える。 キュルケがタバサに香水を手渡すと、タバサは香水を辺りにぶちまけた。 あまりの臭いに鼻を押える。 「何コレ、失敗作?」 「失礼な事言わないで。全部ぶちまけたら臭いに決まってるじゃないの!」 わたし達が文句を言い合ってる間にタバサの詠唱が終わる。 「ウィンディ・アイシクル」 いくつもの氷がプロシュートを襲う。 「グレイトフル・デッド」 ドカ ドカ ドカ ドカ 狙いの外れた氷も火を消したり、温度を下げたりと役に立っていた。 一本の矢がプロシュートの腹部を突き抜けるとグレイトフル・デッドの動きが 一瞬止まった。 その隙に氷の矢が次々とプロシュートに突き刺さり後ろにぶっ飛ばした。 「やったわね、タバサ!」 キュルケが喜びの声をあげるが、タバサは構えを解かない。 「傷が塞がっていく」 タバサの言うとおり氷の矢が貫いたはずのプロシュートの傷が治っていく。 「どうなってるのよルイズ!彼自身は普通の人と変らないんじゃ無かったの?」 キュルケが、わたしに向かって非難の声を浴びせる。 「わたしにも分からない。ワルドと戦った時は、こんな事なかったもの・・・」 「偽りの命よッ!それしか考えられない!」 両手で顔を押えながらモンモランシーが叫んだ。 「つ、強すぎる!・・・どうしようもない」 ある程度回復したギーシュが呻いた。 どうしようもない・・・その言葉が全員の心を蝕んでいく。 「諦めないで!」 「じゃあ、一体これから如何するのよ!」 わたしの激励にモンモランシーがヒステリックに叫ぶ。 わたしには答えることが出来なかった・・・ 「ああ、やっと思い出した」 手に持ったデルフリンガーが呑気な声をあげた。 「何よ、こんな時に」 「相棒の姿を見てたら思い出した。ブリミルもあれにぁ苦労してたんだぜ」 「何が言いたいの?」 「いやはやブリミルは大した奴だぜ。しっかりと『対策』を立ててある」 「『対策』ってなによ?」 「俺が知ってる訳じゃねえ。始祖の祈祷書に記されてる」 「真っ白で何も書かれて無かったわよ」 「話は最後まで聞け、読むためには幾つかの条件があるんだよ。 祈祷書と姫さんから貰った指輪をもってるか?」 「わたしの部屋にあるわ」 「じゃあ取りに行け。話しはそれからだ」 「デルフリンガー、信じていいのね?」 「ああ、俺はこれでも伝説なんだぜ」 デルフリンガーは、そう言残すと一言も喋らなくなった。 ここで闇雲に魔法で攻撃しても勝ち目が無い・・・ 始祖ブリミルが記した『対策』・・・ わたしの部屋に戻るのなら階段を上るしかルートが無い。 だから行くしかない・・・目の前のプロシュートを何とかして・・・ 起き上がったプロシュートが、ゆっくりとこちらに向かって来る・・・
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【作品名】ジョジョの奇妙な冒険 【ジャンル】漫画 【名前】リゾット・ネエロ 【属性】スタンド使い ギャングの暗殺チームリーダー 【大きさ】成人男性並み スタンド:全長数cmの細長い体に顔と腕がある。一体一体微妙に形が違う。 総数は不明だが無数に存在し、通常時は本体の体内に潜んでいる。 【攻撃力】本体は大規模なギャングの暗殺チームリーダー並み。 【防御力】本体は大規模なギャングの暗殺チームリーダー並み。 体を切り裂かれても体内のメタリカが磁力で引き合い接着可能。(傷は残る) (足首を分断されてもすぐに磁力で足を引き寄せ接着した) 【素早さ】暗殺チームリーダー並み。相当スタンド戦闘に場慣れしている。 【特殊能力】メタリカ METALLICA ダメージ伝達:全身にフィードバック(群体型なので数体倒した程度では影響なし) 射程距離:最高で20m(通常時は本体の体内から出ない) 能力射程:半径10m(ただし、一旦作った鉄製品はもっと遠くまで形を保てる) 能力:磁力を発して鉄分を操作する。 鉄分を組み立て、刃物等を作って操作できる。 射程内なら位置や数を問わない。敵の全周囲に何十ものナイフを出現させ一度に放つ。 生物の体内の鉄分をも操作できる。(例:標的の体内に無数の刃物を発生させて吐き出させる) 作中では頭部や口や喉から大量の裁縫針やカミソリを発生。 頭部や顔面の皮膚下に作成したカミソリを操り頭蓋や顔を切り裂く。 喉に作成したハサミで喉笛を掻っ切ろうとするなど。 これによって体内の鉄分を奪われた生物は、鉄分が欠乏して酸欠になり死に至る。 数十のナイフ、大型のハサミ、20枚以上のカミソリ、百数十本の針などを1秒かからない位で作成。 (3m程から接近して殴ろうとするドッピオの口内に裁縫針作成が間に合ったので) 本体の全身の表面に鉄粉を付着させ、姿を消す事ができる。 保護色の原理で完全に背景と同一化し透明。 また、これに関しては発動させた後は自動的であり、動き回る際等も意識的な微調整は不要。 メタリカを相手のスタンドに付着させ、潜り込んで操ることが可能。 (エアロスミスを乗っ取って動かした。) 【長所】防御力無視の体内からの鉄分攻撃。 【短所】遅い。 【戦法】脳や頭部中心にカミソリやハサミをナイフを大量発生させつつ半径10mの距離を保つ。 【備考】透明化した状態で参戦。 vol.4参戦
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異世界よりの来訪者。ロマンを掻き立てずにはいられないフレーズだ。 ただし「相手にもよる」という注釈つきで。 「そう。あなたは異世界からやってきたのね」 「驚かないんですか」 驚きゃしません。あんたにそんなこと言われて驚く人は、一人だっていませんよ阿呆のグラモン。 「どうせ理解できないだろうけど、一応教えといてあげる」 「はい」 「あんた誰彼構わずその話してるでしょ。昔ならともかくね、今になって真に受ける人間は学院中探したっていやしないの」 「……」 スッと表情が消え失せた。何も見ていない顔でわたしを見ている。お、怒ったのかな。 何よ。ちょっとばかり気圧されるけど、ここで退くつもりはないんだからね。 「この期に及んで法螺話でお茶を濁そうとするっていうの? わたしがそれを許すと思う?」 「……」 キーシュは机に立てかけてあった杖を手に取った。 手の動きには一掬いの淀みもなく、右手を除き眉の一本さえ動かさず、その挙動からは感情の一端すら読み取ることができない。 背中の産毛が逆立った。 「あんた、何をする気?」 とっさにわたしも杖を抱き寄せた。 何考えてるのこの男。どう考えてもわたしが被害者なのに。あんたは切れていい立場じゃないでしょ。 まさかここでドンパチやらかそうってわけじゃないわよね? ね? 「……」 杖を自身の口元へと近づけていく。 口? 口に近づけて何する気なのよ。ああやだ。こんなやつに絡むんじゃなかった。 わたしは杖を握る手に力を入れた。どうしよう。先制攻撃するわけにはいかないよね。でもこのまま待ってたらなんかとんでもないことになりそうな。うう。 呼気が樫の肌を湿らせる直前まで近づけ、キーシュはそこで杖を止めた。 この男がつかめない。何をしようとしているのか、何を考えているのか。 脅しているの? ゼロのルイズだからと足元を見られている? 怒りよりも先に他の感情が湧き上がった。認めなたくないけど、やっぱり怖いものは怖い。つばを飲み込む音が、骨を通して体の端々にまで響く。 わたしの見ている前で、形の良い唇が緩み、軽く開き、キーシュはのどを震わせ、 「ええ、こちらは問題ありません。『特異点』は確保済み、『アカシックレコード』は依然均衡を保持」 「は?」 「この世界が内包する『宇宙エネルギー』は緩やかな進化の螺旋を下りつつあります。全ては『大宇宙の始まり』が定めたままに」 「……キーシュ?」 「なんですって? 『惑星開発機構』が動いた?」 「あのね」 「それではこちらもAクラスの能力者……『エージェント』を用意しなければ」 「いい加減にしなさいよ」 「なんということだ。これが『世界』の選択だというのか……」 「いい加減にしろって言ってんの! 杖とお話するのはやめなさいっ!」 キーシュ。名門グラモン家の五男で末っ子。 庶子とのことで、たしかにギーシュとは似ていない。きっと他の兄とも似てないんだろう。 整った顔立ち、浮世離れした雰囲気、尖った耳、これらの特徴は彼の母親がエルフであるという噂の裏づけとなり、社交界でまことしやかに囁かれるグラモン元帥の荒淫ぶりも証明していた。 その複雑な生い立ちを聞き、彼に同情を示した者は少なくなかったが、今となっては彼に同情する者などいようはずもない。 そりゃねえ。こんなやつなら同情する気も無くなろうってものよね。 キーシュを知る人間は、例外なく彼のことを変人と形容する。わたしは心の中で阿呆と呼ぶ。 この阿呆メイジは、誰彼構わず異世界からの来訪者だと騙ってまわる。 それを聞かされた九割九分の人間はこいつとの付き合いを断念し、残り一分の人間が真っ正直に信じちゃったせいで一時期問題になっていらしい。噂で聞いただけだけど。 ここで退学処分にでもなれば良かったのに、結局キーシュは学校に居残った。 これは父親の威光云々関係無しに、魔法の才能が惜しまれたんだと思う。悔しいけど。 キーシュはとても極端な魔法の才能を持っていた。ごく初歩の魔法が使えなかったと思えば、スクウェアでもできないようなことを簡単にしてのける。 最高クラスに純度の高い金を練成した。拳大の金剛石を練成した。それどころか世界に存在しないはずの物質を練成した。 こいつに関して伝わってくる話は噂話の域を出ないものばかりではあったものの、先生の態度なんかを見ればどの程度の真実味があったのかは大体分かる。 建設的なわたしは、思うだけで腹の立つこの阿呆のことをなるだけ考えないようにして、そうしているうちに名前まで忘れて今に至っていた。 「わたしは怒っているの。分かる? 怒っているのよ」 「モチロンワカッテイマスヨ」 「片言で話すなっ、わたしの目をみろっ、誤魔化そうとしないでっ!」 名門の出、ドラマチックな出自、悪くないご面相、偏りがあるとはいえ天才的な魔法の腕。 これだけのものが揃っていれば、薔薇色の学院生活を送ることができたはずよね。 でもキーシュは法螺をふき続けて楽しい生活を捨てた。意味が分からないとかそういう問題じゃない。 今ではまともに会話をしようという生徒なんて兄のギーシュくらいしかいない。 「得意の法螺で貴族どもを慌てふためかせる」という不埒な理由から、使用人たちとは親しいらしいけど。 平民貴族関係なく友達がいないわたしに比べればまだまだってとこね。 ……あれ。なんでだろう、目から心の汗が……。
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風のアルビオン わたしは今ギトー先生の授業を受けている、勿論プロシュートも一緒だ 「最強の系統は知ってるかね、ミス・ツェルプトー」 ギトー先生は、なんだか暗くて怖くて不気味で皆の人気が無い先生だ 「『虚無』じゃないんですか?」 「伝説の話をしているわけではない。現実的な答えを聞いてるんだ」 あっキュルケがむかついてる、むかついてる 「『火』に決まってますわ。ミスタ・ギトー」 確かに『火』の系統は戦いに向いている 「ほほう。どうしてそう思うね?」 「すべてを燃やしつくせるのは、炎と情熱。そうじゃございませんこと」 「残念ながらそうではない」 先生は杖を構えると、言い放った 「試しに、この私にきみの得意な『火』をぶつけてきたまえ」 教室で『火』?何度か爆発させた、わたしが言うのも何ですが教室ですよ? 「火傷じゃすみませんわよ?」 「かまわん。本気できたまえ。その、有名なツェルプトー家の赤毛が飾りではないのならね」 キュルケの顔から笑みが消え辺りに緊張が伝わってくる 胸の谷間から杖を抜くと・・・って胸ェ? キュルケの周りの男子の目が イモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモ イモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモイモ イモビリツァーレ!(釘付けだ) 男子がキュルケの胸に注目してる わたしは自分の胸元を覗き込んでみる そこに起伏は無く爽やかな平原が広がっていた それって納得いく?ねえ。 わたしは、ぜェーんぜん納得できないわ なめてるの!この、わたしをクソックソッ むかつくのよ、コケにしてっ、ボケがー! 教室に烈風が舞った キュルケの炎が、かき消され吹き飛ばされていた わたしは考え込むと周りが見えなくなるのね、なんとかしないと 先生が言い放った。 「諸君、風が最強たる所以を教えよう。簡単だ。風は全てを薙ぎ払う。火も、 水も、土も、風の前ででは立つことすら出来ない。残念ながら試したことは ないが、虚無さえ吹き飛ばすだろう。それが風だ」 隣のプロシュートをチラリと見る 彼の能力、あの力を風で吹き飛ばす事が出来るのだろうか? ひょっとして最強はプロシュートなのではないか・・・? わたしは、魔法に誇りを持つ貴族。わたし自身は失敗が多いけど 魔法の凄さは十分知ってるつもり。 でも、プロシュートの能力を見せ付けられて わたしの『自信』ってやつがブッ壊れそうだわ 先生の説明が続く 「目に見えぬ風は、見えずとも諸君らを守る盾となり、必要とあらば 敵を吹き飛ばす矛となるだろう。そしてもう一つ風が最強たる所以は・・・」 先生が杖を立てた 「ユビキタス・デル・ウィンデ・・・」 低く、呪文を詠唱する。その時、教室の扉がガラッと開きコルベール先生が入ってきた うわっ、何あのかっこ。えらい、また、めかし込んで、まあ 「ちっ、いい所でよー」 プロシュートが呟いた わたしはなんだか、その呟きが、とても気になった
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わたしが医務室に着くと、既にモンモランシーが治癒を受け終わり、 ベッドで静かに寝息を立てていた。 わたしも続けて治癒を受け終わり、わたしとギーシュとモンモランシーの三人 だけとなった。 なんと声を掛ければいいのか考えてるとギーシュから声を掛けてきた。 「すまなかったねルイズ、彼女は君がチヤホヤされる事に嫉妬してたんだよ。 彼女には僕が良く言い聞かせておくよ」 てっきり、わたしを責めるかと思ってたのに。 「ギーシュ・・・どういう風の吹き回しよ?」 ギーシュはファサと髪をかきあげた。 「なに、兄貴に君の事を頼まれたからね」 ・・・・・・? 「ちょっと待って、頼んだのは連れて帰る事で、ずっと面倒を看ることじゃ無かっ たと思うんだけど?」 「いいじゃないか、そんな細かい事は」 あっはっは、と高笑いをあげた。 「細かくないわよ、あんた一生わたしの面倒を看るつもり?」 「一生じゃないさ、君が一人前のメイジになるまでは見守るつもりさ」 「あんた、わたしが『ゼロ』だということを忘れたの?」 「その事について僕は大して心配なんかしてないさ。君は兄貴を召喚したんだ 近い内にきっと僕など足元にも及ばないメイジになるさ」 ギーシュがわたしをプロシュートを通じて認めてくれている。 「ほ、褒めたって何も出ないんだからね」 「別に見返りが欲しくてやっている訳じゃないさ」 コンコン。開けた扉からキュルケがノックをしていた、タバサも一緒だ。 「お邪魔だったかしら?」 「ちょ、キュルケ!そんなんじゃないんだから」 「よしてくれたまえキュルケ。僕には心に決めた人がいるのだから」 わたしは不快を隠さずキュルケに問う。 「で、何しに来たの?」 「何しに来たのとは、ごあいさつね。お見舞いに来たんじゃないのよ。後、報告」 「報告?」 「さっきの騒ぎ、授業に来たコルベール先生の耳に入ってね、珍しく恐い顔を してたわよ。後でここにも来るんじゃないかしら」 バタバタと廊下から足音が聞こえてきた。 「早いわね、もう来たわ」 キュルケが廊下を見ながら呟いた。 「コルベール先生・・・」 先生が息を切らせながら部屋に入ってきた。 「よかった、無事だったのですね」 先生は静かに眠っているモンモランシーの顔を確かめ息を整えてから、 こちらを向いた。 「ミス・ヴァリエール、事情は聞きました。 きみは自分の魔法をミス・モンモランシーに打ちましたね」 確かに、今のコルベール先生は恐い顔をしていた。 何人も人を殺しているような・・・プロシュートと少し雰囲気が似てる・・・ ・・・まさかね・・・。 「はい、その通りですミスタ・コルベール」 後悔はしていない。わたしはモンモランシーが許せなかった・・・ 「この貴族の学び舎で『規則』を破り魔法を打ち合うなどと、とても許せる 行為ではありません。この事は実家に連絡させていただきますので そのつもりでいるように。」 今、何て言いました? 「ごめんギーシュ、もう一回先生を呼んできてもらえる?まだ耳の調子が 良くないみたい・・・実家に連絡するって聞こえたわ」 「聞き間違いではありませんよ、ミス・ヴァリエール」 きっぱりとコルベール先生は言った。 「ちょっ!ちょっと待ってくださいよッ!」 「う、嘘ですよね。ちょっとおどかして気合を入れてから あとで本当は許してくれるんですよね、罰当番とかで」 コ・・・コルベール先生の目・・・ いつもの暖炉の火のような暖かい眼差しなんかじゃなく トライアングルスペルの炎の如く全てを焼き尽くさんと燃えている・・・ わたしの取るべき行動は・・・ わたしは部屋の窓を開け、窓枠に両手をかけ足を乗せ、そして・・・ 「ちょっとルイズ、ここ三階よ!」 キュルケに後ろから羽交い絞めにされた。 「放して、放してよキュルケ」 死に物狂いでもがくが体格の差で、わたしは部屋の中央に戻された。 「もうダメよ・・・おしまい・・・コルベール先生に連絡されたら・・・ あたしもう・・・生きてられない・・・もう死にたいわッ!!クソッ!!クソッ!! 飛び降りたいよ~、窓から飛び降りたいよ~」 嘆くわたしをキュルケが冷たく見下ろしている。 「・・・さっき、あなたの目の中にダイヤモンドのように固い決意をもつ『気高さ』を みたわ・・・だが・・・堕ちたわね・・・ゼロのルイズに・・・!!」 「ンなこたあ、どーでもいいのよッ!」 キュルケの侮辱も今はどーでもいい・・・ 「お・・・おわりよ・・・わたしはもう・・・おわったのよ・・・」 「ちょっとルイズ、一体何なのよ」 わたしの只事じゃない様子にキュルケが心配そうに声を掛けてくる。 「親がそんなに恐いの?」 親という単語が出ただけで震えが止まらない。 「な、なんて言ったら理解してもらえるのかしら・・・ そうね、プロシュートが『二人』説教しに来ると想像してみて」 嫌な沈黙が場を支配する。 「ご、ごめんルイズ。あたし用事を思い出したわ」 キュルケが慌てて部屋を出て行こうとする。 「用事って、どこに行くのよ?」 「ちょっとスティクスに会いに・・・」 「別れたんじゃなかったの?」 「・・・じゃあ、ペリッソン」 「じゃあって何!」 わたしとキュルケが言い合いをしている脇をそっとタバサが抜けようとしていた。 「ちょっとタバサ、どこに行くのよ?」 「・・・シルフィードにエサあげなきゃ」 「あんた、いつも放ったらかしでしょうが!」 視界の隅にギーシュが映る。モンモランシーをやさしく起しているところだった。 「さあ。ここは騒がしいので自室でゆっくりと休もうじゃないか」 「ギーシュあんたは見捨てないわよね、わたしを見守ってくれるのよね」 蜘蛛の糸に縋る思いでギーシュを見つめた。 人目があっても『あの方』の罰が緩くなるとは思えないが、もしかしたら九死に 一生を得るかもしれない。 「うむ、確かに言った!」 ギーシュは力強く頷いた。 「だが、それはそれ、これはこれだ!!」 「うらぎりものおおおおおおぉぉ!!」